オールオン4(オールオンフォー/All-on-4)を検討する方へ。
仕組み・向き不向き・治療の流れ・費用・寿命・リスクまで、日本口腔インプラント学会専門医が総合的に解説します。
骨造成・鎮静を含む費用設計や長期予後のデータも掲載。自由が丘駅徒歩2分。
インプラントや矯正は”やる・やらない”以前に、まず情報を整えることが第一歩です。この記事ではメリットだけでなく、注意点や向かないケースも含めて整理します。
【オールオン4とは?4本のインプラントで固定式の歯を支える治療】
オールオン4(All-on-4/オールオンフォー)は、片顎に4本程度のインプラントを埋め込み、その上に固定式の歯(上部構造)を一体で装着する治療法です。名前の由来は”All on 4″・・・4本のインプラントの上に全歯列を載せる、という設計思想にあります。
前方の2本は垂直に、後方の2本は傾斜させて埋入することで、骨が少ない部位でも奥歯相当の位置まで歯を伸ばせる工夫が特徴です。
歯の多くを失った方、残った歯の多くが保存困難な方、総入れ歯が合わずにお困りの方が、取り外し不要の固定式の歯を取り戻すための選択肢のひとつとして位置づけられています。
【入れ歯との違い:「固定式」がもたらすもの】
総入れ歯(総義歯)とオールオン4の最大の違いは、外れるか、固定されているかです。
総入れ歯は、すべての歯を失った歯ぐきの上に乗せて使うため、「噛むとずれる」「硬いものが食べにくい」「話しづらい」「外れるのが不安」といった悩みが出やすいものです。一方、オールオン4はインプラントで顎の骨に固定されるため、こうした不安が軽減しやすい傾向があります。
当院でオールオン4の手術を受けて治療途中の段階にある方も、手術当日に仮歯が入ったことで、長く不安を抱えていた入れ歯から解放され、噛むことへの安心感を取り戻されています(治療経過や感じ方には個人差があります)。「入れ歯がつらい」という状態からの変化は、生活の質に関わる部分でもあります。
ただし、固定式であっても天然歯と完全に同じ感覚になるわけではなく、極端に硬い食品の継続的な咀嚼は上部構造の破折リスクになります。利点と限界の両方を理解しておくことが大切です。
※どんな人に向いている/慎重に検討すべきか※
○向きやすい傾向
・残っている歯の多くが保存困難で、総義歯または総義歯相当が避けられない
・入れ歯の違和感・見た目・外れやすさに不安、不満を感じている
・手術・通院に耐えうる全身状態がある
・治療後の定期メンテナンスに通い続けられる
▲慎重に検討すべき傾向
・コントロール不良の糖尿病、重度骨粗鬆症の治療中、大量喫煙など、インプラント全般の予後に影響する因子がある
・骨量が極端に少なく、大掛かりな前処置が必要
・夜間の強い食いしばり・歯ぎしりがコントロールされていない
・定期通院が難しい生活環境
・術前術後、メンテナンス期において歯科医師やスタッフの指示に協力いただけない場合
向き不向きの判断は、画像診断と全身評価を経てから行うものです。初診の段階で「必ず適応」「絶対に不可」と断定することは適切ではありません。
▼治療の流れ:抜歯から最終補綴まで▼
一般的な治療の流れは次のとおりです。
精密検査:CT(CBCT)、口腔内スキャン、写真、模型、歯周評価、全身状態の確認
治療計画とお見積もり:埋入位置・本数・角度、骨造成の要否、上部構造の仕様を設計し、詳しいお見積もりを提示
抜歯・インプラント埋入手術:保存できない歯を抜き、インプラントを埋入。多くの場合、その日のうちに仮の固定式の歯を装着できます
治癒期間:インプラントと骨が結合する期間として、3ヶ月〜6ヶ月前後
最終上部構造の装着:色・形・噛み合わせを調整し、最終的な歯を装着
メンテナンス:定期検診・清掃・噛み合わせの確認を継続
費用:素材で変わり、骨造成・鎮静は価格に含まれる
(オールオン4は自由診療で、費用は上部構造の素材によって変わります。)
ハイブリッドセラミック+チタンフレーム:片顎 295万円〜
ジルコニア:片顎 380万円〜
これらの価格には、手術・上部構造に加え、静脈内鎮静法(麻酔)と骨造成が含まれています。
一方、精密検査・診断、抜歯、一定期間後のメンテナンスなどは別途必要です。
【寿命・長期予後:データで見るインプラントの生存率】
「インプラントは何年もつのか」は、多くの方が気にされる点です。
インプラント全般の生存率について、研究では次のように報告されています。
★10年生存率:96.4%(システマティックレビュー、Howe et al., 2019)
★20年生存率:約88〜92%(メタアナリシス、Kupka et al., 2024)—5本中4本以上が20年後も機能
ただし、これは適切なメンテナンスを継続した場合の数字です。インプラント周囲炎(インプラント周囲の炎症)や上部構造の破折により、再治療が必要になることもあります。長期予後を左右するのは、喫煙・糖尿病のコントロール・プラークコントロール(歯の清掃状況)・対顎の歯周病のコントロール状況・歯ぎしり、そして定期メンテナンスの継続です。
治療して終わりではなく、長く使い続けるための通院が前提となる治療です。
【よくある誤解】
・誤解①:4本だけで全部支えるから簡単な治療。
→ 実際は、骨の状態・傾斜埋入の角度設計・噛み合わせ設計・メンテナンス体制が噛み合って初めて長期安定が期待できます。簡単な治療ではありません。
・誤解②:手術した日から何でも噛める。
→ 当日に仮歯が入っても、硬い食品は避け、柔らかめの食事から段階的に戻します。手術直後にインプラントが安定しているのは機械的に骨にインプラントが食い込んでいるだけの状況なので不安定です。その後時間をかけて骨とインプラントが結合していきます。最終的な歯が入るまでには治癒期間が必要です。
・誤解③:固定式だからメンテナンスは楽。
→ 上部構造と歯ぐきの境目の清掃は、専用の清掃用具と定期的なプロケアが欠かせません。またその境目の位置は天然の歯があったときの位置と異なるため、慣れるまでは最初は鏡を見ながらとか、意識して磨かないとうまく清掃ができない可能性があります。
【他の選択肢との比較】
オールオン4が唯一の正解ではありません。
・総入れ歯:費用・体への負担は小さいが、固定式ではない
・1本ずつのインプラント(多数歯):本数が増え、骨造成が必要になる可能性も高くなり、費用・期間が大きくなる場合がある
・インプラントオーバーデンチャー:インプラントで入れ歯を固定する中間的な方法
どれが適しているかは、骨の状態・全身状態・ご予算・優先順位(噛み心地・見た目・通院頻度)によって変わります。
♦よくある質問♦
Q. オールオン4はどのくらい長持ちしますか?
A. インプラント全般では、研究で10年生存率96.4%、20年生存率約88〜92%と報告されています(適切なメンテナンス継続が前提)。一方、インプラント周囲炎や上部構造の破折で再治療が必要になることもあります。定期通院を前提に、10〜20年単位で経過を見ていく治療です。
Q. 手術した日から噛めますか?
A. オールオン4では、手術当日に仮歯が入るのが基本です。ただし、当日から何でも噛めるわけではなく、硬い食品は避け、柔らかめの食事から段階的に戻します。最終的な歯までには3〜6ヶ月の治癒期間が必要で、その間にインプラントと骨が結合していきます。
Q. 費用はいくらですか?
A. 自由診療で、片顎295万円〜(ハイブリッドセラミック)/380万円〜(ジルコニア)が基準です。手術・上部構造に加え、静脈内鎮静法と骨造成も含まれます。診断・抜歯・メンテナンスその他は別途で、治療前に詳しいお見積もりをお渡しします。
Q. 骨が少なくてもできますか?
A. 骨造成で対応できるケースは多くあります。骨が極端に少ない場合は別の設計を検討することもあります。事前のCT検査で大筋を判断し、手術中の所見も踏まえて最適な方法を選択します。
Q. 入れ歯とどちらが良いですか?
A. 優先順位によります。固定式で安定しやすい点はオールオン4の利点ですが、外科侵襲・費用・メンテナンス負担は入れ歯より大きくなります。見た目・噛み心地・通院頻度・費用のどれを重視するかで選び方が変わります。当院ではどちらでも対応可能です。
Q. 痛みや腫れはありますか?
A. 手術後は腫れや痛みが一定期間出ることがあります。通常は痛み止めでコントロールできます。当院では麻酔専門医による静脈内鎮静法を用い、手術中の負担を軽減しています。また全身管理の専門家でもある麻酔専門医とチームを組むことで手術時の安全性を高めています。術後の経過や感じ方には個人差があります。
オールオン4を含むインプラント治療には、感染・出血・神経損傷・上顎洞穿孔・インプラント周囲炎・インプラント脱落・上部構造の破折などのリスクがあり、結果には個人差があります。喫煙・糖尿病のコントロール状況・骨量・全身状態により、全員に適応できるわけではありません。費用・治療期間は目安であり、症例により変動します。治療後の定期メンテナンスを継続しない場合、長期予後が悪化する可能性があります。記事中の治療経過は一例であり、結果を保証するものではありません。
監修者
榊原 毅
日本口腔インプラント学会 専門医/日本包括的矯正歯科学会 副代表/日本歯周病学会 認定医/インビザライン認定医/厚労省認定臨床研修指導医(東京科学大学 歯学部)
「不安を煽らず、できること・難しいことも含めて丁寧に説明し、納得して選べる診療を心がけています。」
自由が丘駅南口から徒歩2分。日本口腔インプラント学会専門医と認定技工士のチームで、オールオン4のご相談をお受けしています。まずは現状とご希望を伺うところから始めます→無料相談のご予約はこちらから
参考文献
日本口腔インプラント学会『口腔インプラント治療指針 2024』 https://www.shika-implant.org/
Howe MS, et al. Long-term (10-year) dental implant survival: A systematic review. J Dent, 2019. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30904559/
Kupka JR, et al. A 20-year meta-analysis of dental implant survival rates. Clin Oral Investig, 2024. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39305362/
Maló P, et al. The All-on-4 treatment concept: A long-term retrospective study. Clin Implant Dent Relat Res, 2019. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30589506/
Soto-Peñaloza D, et al. The all-on-four treatment concept: Systematic review. J Clin Exp Dent, 2017. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28828167/
European Association for Osseointegration (EAO) https://www.eao.org/
International Team for Implantology (ITI) https://www.iti.org/
国税庁「医療費控除の対象となる医療費」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
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