上の奥歯のインプラントは難しい?骨が足りないときの治療法(ソケットリフト・サイナスリフト)|自由が丘歯科・矯正歯科|自由が丘駅徒歩2分の総合歯科・矯正歯科

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上の奥歯のインプラントは難しい?骨が足りないときの治療法(ソケットリフト・サイナスリフト)

上の奥歯のインプラントは難しい?骨が足りないときの治療法(ソケットリフト・サイナスリフト)

上の奥歯は骨が薄くインプラントを断られることも。骨造成(ソケットリフト・サイナスリフト)の違いや適応条件、費用目安を専門医が解説します。

【先週の手術から――上顎6本のインプラント、うち4本はソケットリフト併用】
先週、自由が丘院で上顎の左右にそれぞれ3本ずつ、計6本のインプラント埋入手術を行いました。このうち左右2本ずつ、合計4本はソケットリフト(上顎洞内に骨を増やす処置)を同時に行ったケースです。
この方は、以前に別の医院で「上の奥歯は骨が足りないのでインプラントは難しい」と言われ、当院に相談に来られました。CT検査で確認すると、たしかに上顎臼歯部の骨の高さは限られていましたが、ソケットリフトの適応範囲と判断し、インプラント埋入と骨造成を一度の手術でまとめて実施しています。
こうした「他院で断られた」というご相談は、実は珍しくありません。上の奥歯のすぐ上には上顎洞(じょうがくどう=副鼻腔の一つ)があり、骨の高さが不足しやすい場所だからです。しかし、「骨が少ない=インプラントができない」とは限りません。骨を増やす処置を組み合わせることで、対応できるケースは広がっています。


【「上の奥歯はインプラントができない」は本当?】
結論から言うと、骨の量だけで可否が決まるわけではありません。
上顎の奥歯が難しいとされる理由は、歯を失った後に骨が痩せ、さらに上顎洞があることで、インプラントを埋入する骨の高さが足りなくなるため。しかし、上顎洞底挙上術(じょうがくどうていきょじょうじゅつ)という骨造成の手法を用いれば、必要な骨の厚みを確保したうえでインプラントを埋入できる可能性があります。
大切なのは、CT撮影で骨の高さ・上顎洞の形態・粘膜の状態を正確に把握し、適切な術式を選ぶこと。精密な検査なしに「できない」と判断するのは早いかもしれません。


【ソケットリフトとサイナスリフト――2つの骨造成法の違い】
上顎洞底を持ち上げて骨を増やす方法には、大きく2つのアプローチがあります。

*ソケットリフト(歯槽頂アプローチ)
インプラントを埋め込む穴から上顎洞の底を押し上げる方法です。切開が小さく、身体への負担が比較的軽いのが特徴。既存の骨の高さが4〜5mm以上あり、挙上量が3〜5mm程度のケースに向いています。先週の症例で4本に用いたのも、この方法です。
ただし、術野が直接見えない「盲目的な手術」になるため、経験と画像診断の精度が求められます。

*サイナスリフト(側方アプローチ)
骨の高さが足りないためにソケットリフトが行えない場合などに行う手術です。上顎の骨の側面に小さな窓を開け、上顎洞粘膜を直接確認しながら持ち上げる方法です。挙上量に制限がなく、骨がかなり少ないケースにも対応可能。外科的な侵襲はソケットリフトより大きくなりますが、粘膜の穿孔(やぶれ)を目視で確認・修復できる安心感があります。
同時にインプラントを入れられる場合と、数ヶ月待ってしっかり骨ができるのを待たないとインプラントが入れられない場合があります。

ソケットリフト、サイナスリフトどちらを選ぶかは、残っている骨の高さだけでなく、上顎洞の形態・必要な挙上量などを総合的に判断して決定します。


【よくある誤解――「骨造成は危険で痛い」?】
「骨を増やすなんて大がかりで怖い」という声をよく聞きます。たしかに外科処置ではありますが、いくつかの誤解があります。
誤解①「全身麻酔が必要」 当院では、局所麻酔と静脈内鎮静法麻酔(うとうとした状態で受けられる麻酔)を併用して手術を行なっています。静脈内鎮静法麻酔は麻酔の専門医が対応し、より安全で安心な手術を心がけています。
誤解②「術後がとても痛い」 腫れや痛みには個人差がありますが、通常は鎮痛薬でコントロールできる範囲です。ソケットリフトは切開が小さいため、術後の不快感が比較的少ない傾向があります。サイナスリフトはそれよりも痛みや腫れが強いことが多いです。
誤解③「成功率が低い」 適切な診断と術式選択のもとで行われた上顎洞底挙上術は、多くの研究で高い成功率が報告されています。ただし、上顎洞に炎症や囊胞がある場合、自然孔が閉鎖している場合は上顎洞の状態の改善をおこなってから手術を行うのが安全です。ヘビースモーカーの方は禁忌(適応外)となります。


【向いている方/向いていない方(一般論)】

対応が検討できる方
• 上顎洞に病変(炎症・囊胞など)がない方
• 歯周病がコントロールされている方
• 全身状態が安定しており、外科処置に支障がない方
• 禁煙している、または喫煙本数が少ない方
慎重な判断が必要な方・適応外の可能性がある方
• 上顎洞内に炎症や囊胞が認められる方
• 自然孔(上顎洞と鼻腔をつなぐ通路)が閉塞している方
• ヘビースモーカーの方
• コントロール不良の糖尿病など、全身疾患のリスクが高い方
適応の判断にはCT撮影による精密な検査が不可欠です。「自分の場合はどうか」は、検査を受けて初めてわかります。


【よくあるご質問】
Q. 骨が少ないとインプラントは絶対できないの?
A. そうとは限りません。ソケットリフトやサイナスリフトといった骨造成法を併用することで対応できるケースがあります。ただし、上顎洞の状態や全身の健康状態によっては適応外となることもあるため、CT検査を含む精密な診断が必要です。


Q. ソケットリフトとサイナスリフト、どっちがいい?
A. 一概にどちらが優れているとは言えません。残っている骨の高さや必要な挙上量、上顎洞の形態によって適切な方法が異なります。ソケットリフトは身体の負担が小さい反面、適応条件が限られます。担当医と相談して決めることが大切です。


Q. 上の奥歯のインプラント、費用はどれくらい?
A. 骨造成を伴うインプラント治療は自由診療です。費用は骨造成の範囲やインプラントの本数により異なります。インプラント1本あたり基本料金がおおよそ35万〜55万円(税別 骨造成代など別途)です。治療期間はソケットリフト併用で約4〜8か月、サイナスリフト併用で約6〜12か月程度が一般的ですが、個人の状態により変わります。
自由が丘歯科・矯正歯科でのインプラント無料相談ではCT撮影後にお見積もりをお出しします。


Q. 他院で「できない」と言われたけど、セカンドオピニオンは受けられる?
A. もちろん可能です。骨造成の術式や対応範囲は医院ごとに異なるため、別の医院で検査を受けると新たな選択肢が見つかることがあります。相談だけでも問題ありません。



⚠ 治療のリスク・副作用について
インプラント治療および上顎洞底挙上術(ソケットリフト・サイナスリフト)には以下のリスク・副作用があります。
• 術後の腫れ・痛み・内出血(通常1〜2週間で軽減)
• 上顎洞粘膜の穿孔(術中に発見された場合は修復処置を行います)
• インプラント体の上顎洞内迷入(既存骨が少ない場合にリスクが高まります)
• 感染症・上顎洞炎
• インプラント体が骨と結合しない可能性
• 神経損傷による知覚異常(まれ)
※効果や経過には個人差があります。すべての方に同じ結果を保証するものではありません。


監修者:榊原 毅 日本口腔インプラント学会 専門医/日本包括的矯正歯科学会 副代表/日本歯周病学会 認定医/厚労省認定臨床研修指導医(東京科学大学 歯学部)
「不安を煽らず、できること・難しいことも含めて丁寧に説明し、納得して選べる診療を心がけています。」

「何が合うか」を一緒に考える相談の時間を大切にしています。自由が丘駅南口徒歩2分 緑道そばの歯科医院(世田谷区奥沢)/プライバシーに配慮した個室でお話しします。→ インプラント無料相談はこちら
症例ページ: https://jiyugaoka-dc-ortho.com/cases/


参考文献
1. 公益社団法人日本口腔インプラント学会 編『口腔インプラント治療指針 2024』(表22・表23:上顎洞底挙上術の比較と検査項目)
2. Pjetursson BE, et al. “Maxillary sinus floor elevation using the (transalveolar) osteotome technique with or without grafting material.” Clin Oral Implants Res. 2009;20 Suppl 4:152-160. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19663959/
3. Tan WC, et al. “A systematic review of the success of sinus floor elevation and survival of implants inserted in combination with sinus floor elevation.” J Clin Periodontol. 2008;35(8 Suppl):204-215. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18724852/
4. Del Fabbro M, et al. “Systematic review of survival rates of implants placed in the grafted maxillary sinus.” Eur J Oral Implantol. 2008;1(1):3-18. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20467640/
5. ITI Treatment Guide Volume 5: “Sinus Floor Elevation Procedures.” ITI / Quintessence Publishing. https://www.iti.org/treatment-guide